
もしも被災したら、国は何をどう保障してくれるの?火災保険・地震保険を検討中だし、住まいに関する事を中心に知りたい。
という方向けの記事です。



国は税金を取るばかりというイメージですが、いざ災害が起きた時にどんなサポートをしてくれるのか気になりますよね。
地震・噴火・津波、台風、洪水、土砂崩れなど、いざ起きたらどうすればいいのか。どんな保障があるのか。
住まいに関する保障を中心にまとめてみました。
参考にしてみてください。
この記事でわかることは..
- 国の保障はおおきく分けて4種類
- 国の保障はいろんな法律がベースになっている
- 災害時、目的別の保障
災害救助法による保障や「被災者生活再建支援制度」を中心にまとめている記事→【【地震保険】災害がいざ起きたら?被災後の国の保障は?】
罹災証明書の事をまとめている記事→【【罹災証明書】わかりやすく、ちゃんと知りたい。】
地震保険の事をまとめている記事→【【地震保険】とは?必要か不要か判断材料が欲しい。】
【国の保障】災害時の国の保障まとめ - 住まい編 –
まず、住まいに関する国の保障には種類があります。
種類は、全部で4つ。「現金給付」「現物給付」「融資」「減免・猶予」。
4つのうちのどれに当てはまるのか、という視点でみていくとわかりやすいかもしれません。
また、災害救助法による保障と、災害救助法とは別の法律による保障の2通りがあります。
また、住まいに関する保障を目的別に分けると、全部で11。
「住宅ローンの内容見直し」「(土砂等の)障害物の除去」「応急修理」「土地を直す」「修理」「建て替え・住み替え」「民間賃貸住宅へ引っ越し」「公共賃貸住宅へ引っ越し」「耐震化・防災化」「土地を強くする」「災害危険地域から別の地域へ引っ越し」。
それぞれ見ていきましょう。
国の保障は4種類


被災した時の国の保障は4種類です。
一つ一つ見ていきます。
現金給付


一つ目は、現金給付。
つまり、「お金をもらう」ことです。
条件をクリアさえすれば、お金がもらえます。もちろん、返さなくていいお金です。
現物給付


つづいて、現物給付。
これが一番わかりづらいかもしれません。
現物とは、「モノ」や「サービス」のこと。
つまり、「モノやサービスをもらう」ことです。
こちらも返さなくていいモノやサービスです。
融資


つづいて、融資。
つまり、「お金を借りる」ことですね。
お金を借りるのは、ハードルがいくつかありますよね。たとえば、収入、多重債務が無いかどうか、金利がいくらか。
災害時は、これらのハードルが下がった融資をしてくれます。つまり、借りる人の収入は低くてもOKですし、住宅ローンなど他に融資があってもOKだったり、金利が低かったり。
減免・猶予


さいごに、減免・猶予。
耳慣れない言葉ですが、中身は簡単です。
つまり、「社会保険料や税金を払わずに済む・支払いを先延ばしにできる」ことです。
被災して、収入が減ってしまったり、最悪仕事を失ったとしても、税金を払わないといけないケースがあるんですよね。
そんなの酷ですから、支払わずに済ませたり、先延ばしにしてくれるんです。
災害救助法による保障と、別の法律による保障


災害救助法による保障を中心にまとめている記事→【【地震保険】災害がいざ起きたら?被災後の国の保障は?】
国の保障は、災害救助法による保障と、災害救助法とは別の法律による保障の2通りがあります。
「予防」→「応急」→「復旧・復興」それぞれの分野で法律が存在しています。
災害救助法は、「応急」の分野です。
- 災害救助法とは
-
引用元:内閣府「災害救助法の概要 令和2年度」抜粋 まず、災害対策基本法というベースとなる法律があります。読んで字のごとく、災害対策についての法律ですね。
その災害対策基本法の中に災害救助法が含まれている感じです。
災害救助法は、「予防」「応急」「復旧・復興」のカテゴリーのうち、「応急」系の法律です。
応急=とにかく迅速にとりあえず
「災害救助法」による特別措置の要請がされるには条件があります。ある程度おおきな広範囲の災害のときに特別措置の要請がされます。東日本大震災などですね。
実際に災害が起きると「災害救助法」にもとづいて国の指示で上の画像に書いてあるような「いろいろな支援」がおこなわれます。
災害救助法による保障
国が「災害が起きた、とにかく迅速に被災者をサポートする」、と判断した時に災害救助法が適用されます。
つまり、有事の時に保障します、という保障です。
災害救助法とは別の法律による保障
災害救助法ではなく、別の法律による保障があります。
つまり、平時の時からある保障や、有事の後・応急的な保障をした後に復興に向けた保障ですね。
目的別いろいろな保障


住宅ローンの内容見直し


これは「社会保険料や税金を払わずに済む・支払いを先延ばしにできる」保障ですね。
ここでいう“払わずに済む、先延ばしにできる”のは、「被災前から返済していた住宅ローン※」です。
※住宅金融支援機構の住宅ローン
内容は以下のとおりで、住宅ローン返済の「先延ばし」「金利を減らす」「返済期間の延長」ができます。


各種制度の概要」
まず、この保障を利用できる人は以下のどれかに該当することが大前提です。
- 自宅の復旧費が相当大変な人
- 収入がかなり減った人
- 返済が難しくなった人
かつ、以下の条件をクリアしないといけません。
- 被災後の収入月額が「変更前の毎月の返済金の4倍」以下または「世帯人員×64,000円」以下の人
最後のがわかりづらい..
こんなイメージです↓


つまり、被災後の月収が、毎月返済額の4倍or世帯人数×64,000円よりも少なくなれば条件クリアです。
ややこしいルールだ
条件がクリアすると、“罹災割合”によって、見直し後の返済期間の年数と金利が決定します。
またわかりづらい..


つまり、被災後の収入が減る&復旧にあてる貯金+災害による治療費が多いと、罹災割合の数字が高くなります。
罹災割合の数字が高くなると、先延ばし・期間延長の年数は長くなって、金利は減らせませす。
罹災割合による年数と金利は以下のとおりです。
先延ばし・金利減・期間延長 | 年数と金利 |
---|---|
“罹災割合”30%未満 | 1年、0.5%減 |
“罹災割合”30~60%未満 | 2年、1.0%減 |
“罹災割合”60%以上 | 3年、1.5%減 |
※引き下げ後の金利が0%を下回ってマイナスになる場合は、「0.01%」になります。
ちなみに、災害は関係なく、住宅ローンをいつでも見直し可能な内容は以下のとおりです。
- 返済期限の変更(毎月返済額減)
- 返済期間の短縮(繰り上げ返済)
- 元利均等返済⇔元金均等返済の変更
- 毎月返済&ボーナス返済の併用⇔毎月返済のみ
- 毎月返済額とボーナス返済額の変更
(土砂等の)障害物の除去


- 現物給付
- 災害救助法
災害が起きると、自宅やその周辺が土石など障害物のよって埋もれてしまう事もありますよね。
そんな状態では日常生活は送れないです。
そこで、国から委託された業者さんが障害物を除去してくれるんです。
「モノやサービスをもらう」現物給付ですね。
応急修理


- 現物給付
- 災害救助法
災害で自宅に住めない状態になった時に、自宅を応急的に修理してくれます。
修理箇所は、リビング・寝室・キッチン・トイレなど、日常生活を送るために必要最低限な所です。
「モノやサービスをもらう」現物給付ですね。
「自ら修理する資力がない世帯」が条件の一つになっているので、収入が無くなったり貯金が無い方向けだと思います。
ちなみに、自宅が全壊した場合は修理できない状態なので、この保障は基本的に利用できません。
全壊になったら、再建築や引っ越しという選択肢になりますね。
自宅の損壊程度によって、約30~65万円の費用が保障されます。※2022年時点
土地を直す




- 現金給付
- 災害救助法とは別の法律
- 融資
- 災害救助法とは別の法律
被災者生活再建支援法
被災者生活再建支援法という法律による「被災者生活再建支援制度」という保障があります。
現金給付という「お金がもらえる」保障です。
被災者生活再建支援制度をもっと詳しく知りたい方は→【【地震保険】災害がいざ起きたら?被災後の国の保障は?】
地震保険の話題でよく出てくる支援制度です→【【地震保険】とは?必要か不要か判断材料が欲しい。】
災害救助法とはちがう条件で、お金がもらえます。内容は以下のとおりです。
基礎支援金は、自宅の被害の大きさによって50~100万円、加算支援金は<建設・購入>を参照ください。
<建設・購入>の場合は、100~200万円ですね。
基礎支援金と加算支援金の合計で、最大300万円。




注:単身世帯は、もらえるお金は2人以上世帯の3/4です。
修理




- 現金給付
- 災害救助法とは別の法律
- 融資
- 災害救助法とは別の法律
被災者生活再建支援制度
さっきも出てきた?
そうです、被災者生活再建支援制度でもらえるお金は使い道が自由なので、いろんな場面で登場します。
被災者生活再建支援制度をもっと詳しく知りたい方は→【【地震保険】災害がいざ起きたら?被災後の国の保障は?】
地震保険の話題でよく出てくる支援制度です→【【地震保険】とは?必要か不要か判断材料が欲しい。】
被災者生活再建支援制度は、現金給付という「お金がもらえる」保障です。
災害救助法とはちがう条件で、お金がもらえます。内容は以下のとおりです。
基礎支援金は、自宅の被害の大きさによって50~100万円、加算支援金は<補修>を参照ください。
<補修>の場合は、50~100万円ですね。
基礎支援金と加算支援金の合計で、最大200万円。




注:単身世帯は、もらえるお金は2人以上世帯の3/4です。
災害復興住宅融資<補修>
これは融資なので「お金を借りられる」保障です。
災害救助法による「災害復興住宅融資」という保障があります。
内容は以下のとおりです。


各種制度の概要」
「罹災証明書」を入手していることが大前提です。
罹災証明書は、自宅の被害の大きさを証明する書類です。「全壊」「大規模半壊」「中規模半壊」「半壊」「準半壊」「一部損壊」の6区分のうち、半壊以上で災害復興住宅融資を利用できます。
借りられる金額は、最大1200万円。返済期間は、最長20年。
金利は、申込時の金利で、固定金利。
申込できるのは、被災日から2年以内です。ただ、次の①②の場合は期間延長されます。①被災者生活再建支援法②災害救助法が適用される災害の場合、①被災日から37か月②建築工事完了日から2年以内。
つまり、ある程度おおきな災害の場合は、申込できる期間が延長されるということですね。
災害援護資金
これは融資なので「お金を借りられる」保障です。
災害弔慰金の支給等に関する法律(災害弔慰金法)による「災害援護資金」という保障があります。
内容は以下のとおりです。


各種制度の概要」
①自宅の損壊程度②世帯主に1ヶ月以上のケガの有無➂家財の1/3以上の損壊によって、借りられる金額が変わります。
この①~➂がお金を借りられる大前提になっています。
借りられる金額は、150万円~最大は全壊で350万円。返済期間は、最長10年。
利子は3%。
注意点4つ。①半壊未満はダメ ②(上の表のとおり)所得制限あり ➂都道府県内で災害救助法が適用された市町村が1以上ある災害 ④返済方法は、年払いor半年払い
生活福祉資金制度
これは融資なので「お金を借りられる」保障です。
社会福祉法人全国社会福祉協議会が運営している「生活福祉資金(通常貸付)」というものです。
「生活福祉資金」には種類があって、その中の「福祉資金」のうちの「福祉費」という項目として融資してくれます。
ちなみに下の図の真ん中あたりが「福祉費」です。


融資目的が住宅関連の場合、最大約250万円を借りられます。返済期間は、最長20年。
誰でも借りられるわけではなく、低所得世帯、障害者世帯、高齢者世帯だけです。
最大の特徴といってもいいのは、連帯保証人をつけると無利子で借りられます。
ちなみに、法律は社会福祉法が関係しています。
災害援護資金と併用不可のようです。
母子父子寡婦寡夫 福祉資金
これは融資なので「お金を借りられる」保障です。
福祉保健局が運営している「母子父子(寡婦寡夫) 福祉資金の貸付」というものです。
「福祉資金」には種類があって、その中の「住宅資金」という項目として融資してくれます。
ちなみに下の図の真ん中あたりが「住宅資金」です。


災害の場合、最大約200万円を借りられます。返済期間は、最長7年。
誰でも借りられるわけではなく、ひとり親家庭だけです。
最大の特徴といってもいいのは、連帯保証人をつけると無利子で借りられます。
ちなみに、法律は社会福祉法が関係しています。
建て替え・住み替え






- 現金給付
- 災害救助法とは別の法律
- 融資
- 災害救助法とは別の法律
- 減免・猶予のイメージ
- 災害救助法とは別の法律
被災者生活再建支援制度
また出てきた?
そうです、被災者生活再建支援制度でもらえるお金は使い道が自由なので、いろんな場面で登場します。
被災者生活再建支援制度をもっと詳しく知りたい方は→【【地震保険】災害がいざ起きたら?被災後の国の保障は?】
地震保険の話題でよく出てくる支援制度ですね→【【地震保険】とは?必要か不要か判断材料が欲しい。】
被災者生活再建支援制度は、現金給付という「お金がもらえる」保障です。
災害救助法とはちがう条件で、お金がもらえます。内容は以下のとおりです。
基礎支援金は、自宅の被害の大きさによって50~100万円、加算支援金は<建設・購入>を参照ください。
<建設・購入>の場合は、100~200万円ですね。
基礎支援金と加算支援金の合計で、最大300万円。




注:単身世帯は、もらえるお金は2人以上世帯の3/4です。
災害復興住宅融資<建設>と<購入>
これは融資なので「お金を借りられる」保障です。
災害救助法による「災害復興住宅融資」という保障があります。<建設>する場合と、<購入>する場合の融資それぞれ用意されています。
<建設>=取り壊しておなじ土地に建設、まったく別の地域で一から建設。<購入>=戸建やマンションの分譲住宅を購入、中古住宅を購入。
内容は以下のとおりです。


各種制度の概要」
「罹災証明書」を入手していることが大前提です。
罹災証明書の事をまとめている記事→【【罹災証明書】わかりやすく、ちゃんと知りたい。】
罹災証明書は、自宅の被害の大きさを証明する書類です。「全壊」「大規模半壊」「中規模半壊」「半壊」「準半壊」「一部損壊」の6区分のうち、「全壊」で災害復興住宅融資<建設>or<購入>を利用できます。
借りられる金額は、建物といっしょに土地を買う場合は最大3700万円、建物のみの場合は最大2700万円。
返済期間は、「最長35年」または「年齢に応じた最長返済期間」の短い方。「年齢に応じた最長返済期間」=80歳-申込み本人の年齢。
金利は、申込時の金利で、固定金利。
申込できるのは、被災日から2年以内です。ただ、次の①②の場合は期間延長されます。①被災者生活再建支援法②災害救助法が適用される災害の場合、①被災日から37か月②建築工事完了日から2年以内。
つまり、ある程度おおきな災害の場合は、申込できる期間が延長されるということです
土地のみの融資はダメみたいです。
ちなみに、災害復興住宅融資は何の法律をベースにしているかというと、災害対策基本法という法律ですね。罹災証明書の発行が災害対策基本法をベースにしているからです。
民間賃貸住宅へ引っ越し




- 現金給付
- 災害救助法とは別の法律
- 現物給付
- 災害救助法とは別の法律
被災者生活再建支援制度
また?
被災者生活再建支援制度でもらえるお金は使い道が自由なので、ここでも登場です。
被災者生活再建支援制度をもっと詳しく知りたい方は→【【地震保険】災害がいざ起きたら?被災後の国の保障は?】
地震保険の話題でよく出てくる支援制度ですね→【【地震保険】とは?必要か不要か判断材料が欲しい。】
被災者生活再建支援法という法律による「被災者生活再建支援制度」という保障があります。
現金給付という「お金がもらえる」保障です。
災害救助法とはちがう条件で、お金がもらえます。内容は以下のとおりです。
基礎支援金は、自宅の被害の大きさによって50~100万円、加算支援金は<賃借(公営住宅を除く)>を参照ください。
<賃借(公営住宅を除く)>の場合は、25~50万円ですね。
基礎支援金と加算支援金の合計で、最大150万円。




注:単身世帯は、もらえるお金は2人以上世帯の3/4です。
セーフティーネット登録住宅への入居
これは現物給付なので「モノやサービスをもらう」保障です。
どんなサービスかというと、“住宅確保要配慮者”である被災者に民間賃貸住宅を確実に提供するサービスです。
無料ではなく、あくまで民間賃貸住宅に住むチャンスをもらえるということです。
※住宅確保要配慮者=低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子育て世帯をいいます。いろいろな支援が必要な方たちですね。
賃貸オーナーさんが、所有する賃貸用住宅を国に登録します。被災者は、国に登録された賃貸用住宅(セーフティーネット登録住宅)を検索できて、入居の申し込みできます。
一般的に、“住宅確保要配慮者”といわれる方たちは、できれば入居をお断りしたい方のようです。賃貸経営も商売ですから、たとえば低額所得者の家賃滞納などのリスクはできれば避けたいですよね。
けれども、住宅確保要配慮者を放っておくにはいかないですし、空き家問題の解消にもつながるということで、国はセーフティーネット登録住居制度をつくったんです。
賃貸オーナーさんのセーフティーネット登録するメリットは、空き家問題の解消や「(耐震工事など)改修費」を国が一部出してくれるところですね。
ちなみに、この保障は、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律がベースになっています。
公共賃貸住宅へ引っ越し


- 現物給付
- 災害救助法とは別の法律
公共賃貸住宅とは、一言でいうと、家賃が安いor割引・特典・各種サービスがある住宅です。理由は、家賃の一部が税金によってカバーされているからです。
賃貸オーナー側の立場からすると、公共賃貸住宅とは、社会貢献&建設費の一部を税金によってカバーできる住宅。耐震工事やバリアフリー工事などのための建設費を国が援助してくれるんですよね。
いろいろな公共賃貸住宅
いろいろな公共賃貸住宅は、ざっくり分けて以下①②➂になるかと思います。
①都道府県、市区町村、民間企業が運営
- 公営住宅(都営、県営、市営など)
- 地域優良賃貸住宅
- サービス付き高齢者向け住宅
②公社が運営
- 公社住宅
➂UR都市機構が運営
- UR賃貸住宅
- 公社とは
-
正式名称は、住宅供給公社。都道府県や政令指定都市が、“勤労者に居住環境の良好な住宅を提供する”ために設立・運営。
- UR都市機構とは
-
正式名称は、独立行政法人都市再生機構。設立目的ややっている事は公社とおなじ感じです。
公社とUR都市機構、どちらも国や都道府県が大元になっている組織ですね。
被災者が求めるのは、やっぱり家賃の安さだと思います。そういう意味では「公営住宅」「地域優良賃貸住宅」の2つは家賃が安いですね。
公共賃貸住宅の特徴5つ
- 収入によって入居できる・できない
- 家賃の割引・特典ある※ない場合も
- 仲介手数料なし
- 礼金なし
- 更新料なし
公営住宅(都営、県営、市営など) | 地域優良賃貸住宅 | サービス付き高齢者向け住宅 | 公社住宅 | UR賃貸 | |
---|---|---|---|---|---|
建設 | 都道府県、市区町村 | 都道府県、市、民間企業、認定民間オーナー | 公社、民間企業、民間認定オーナー | 公社※1 | UR都市機構※2 |
運営 | 都、県、市、公社 | 都、県、市、公社、UR都市機構、認定民間オーナー | 公社、民間企業、民間認定オーナー | 公社※1 | UR都市機構※2 |
どんな人向き? | 低所得者 | 中所得者以下、かつ、高齢者、障がい者、子育て世帯、地方公共団体が地域住宅計画に定める世帯 | 中~高所得者 | 中~高所得者 | 中~高所得者 |
収入条件① | 基準収入以下 | 基準収入以下 | 基準収入以上 | 基準収入以上 | 基準収入以上 |
収入条件② | 下の方の【公営住宅の収入条件と家賃】を参照 | 世帯月所得約38万円以下 | ー | ー | ー |
民間賃貸と比べた家賃 | 安い | 同じぐらい | 同じぐらい | 同じぐらい | 同じぐらい |
民間賃貸と比べた特徴① | 条件クリアすると、さらに家賃減額ができる | 低所得者には国の家賃補助がある。 | ①入居者は60歳以上の方、40歳以上の要支援要介護者②バリアフリー構造➂安否確認・生活相談サービス付き | 特典・割引がある | 特典・割引がある |
民間賃貸と比べた特徴② | 毎日の食事サービス付きが多い | ||||
仲介手数料 | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 |
敷金 | 必要 | 必要 | 必要 | 必要 | 必要 |
礼金 | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 |
更新料 | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 | 不要 |
連帯保証人 | 都道府県市区町村による | 必要 | 不要(保証会社が必要) | 不要(保証会社が必要) | 不要 |
単身者 | 入居NG※3(被災者、高齢者、障がい者などはOK) | 入居OK | 入居OK | 入居OK | 入居OK |
ファミリー | 入居OK | 入居OK | 入居OK※配偶者or60歳以上の親族or要支援要介護者の親族 | 入居OK | 入居OK |
戸数 | 全国に約98万戸※4 | 全国に約16万戸※4 | 全国に約22万戸※4 | 全国に約14万戸※4 | 全国に約70万戸※4 |
法律 | 公営住宅法 | 住宅セーフティーネット法 | 高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法) | 地方住宅供給公社法 | 独立行政法人都市再生機構法 |
※1公社=地方自治体(都道府県や政令指定都市)が出資して設立した「地方住宅供給公社」。東京都なら東京都住宅供給公社、神奈川県なら神奈川県住宅供給公社、大阪府なら大阪府住宅供給公社。
※2UR都市機構=国土交通省を主務省とした独立行政法人都市再生機構(Urban Renaissance Agency:UR都市機構)。元「公団住宅」。
※3公営住宅・単身者入居NG=被災者や50歳以上・障がい者などは入居OK
※4戸数=参考:「全国住宅供給公社等連合会」、都市再生機構ウィキペディア、国土交通省「サービス付き高齢者向け住宅の現状と課題」※平成29.12末時点、国土交通省「住宅セーフティネット(参考資料)」平成28年.11時点
参考:https://www.kousha-chintai.com/「神奈川県住宅供給公社」、https://www.to-kousya.or.jp/chintai/index.html「東京都住宅供給公社」、https://www.ur-reserve.com/hikaku/「株式会社ケイザンエステート」
ちなみに「住宅確保要配慮者あんしん居住推進事業」による住宅は、平成27年にはじまって平成29年に事業終了しているようです。
公営住宅の収入条件と家賃






公営住宅は家族全員の収入によって入居できるかどうか決まります。また、その収入に合わせて家賃が決まります。
次の順序で月所得を出します。
- 収入の種類別(サラリーマン・公務員、自営業、年金受給者)に家族全員分の所得金額を計算
- 家族全員分の所得金額を合計
- 家族全員分の所得金額-公営住宅法の各所得控除÷12=「月所得」
※月所得≠月収入です。所得とは、収入からいろいろな所得控除を差し引いた後のお金です。所得税という税金を計算するための金額のこと。
※公営住宅法の各所得控除≠一般的な各所得控除
※サラリーマンの所得金額=給与収入-給与所得控除、自営業の所得金額=事業所得(利子所得、配当所得など)-必要経費、年金受給者の所得金額=年金-公的年金等控除
※公営住宅法の各所得控除の詳細は、「政令月収」というワードを入力して住んでいる市区町村のサイトを検索すると出てくると思います。
計算した月所得におうじて仮家賃(家賃算定基礎額)が決まります。※下の表を参照
さきほどの仮家賃に各係数(応益係数)をかけると、「家賃」が決まります。
※各応益係数の数字は、公営住宅がある市区町村によって変わります。上の表を参考にしてみてください。
正式な家賃まで計算するのは面倒なので、仮家賃でざっくり把握できればいいと思います。
下の表で月所得とおおよその家賃(仮家賃)がわかりますので、参考にしてみてください↓
世帯区分 | 月所得(政令月収) | 仮家賃(家賃算定基礎額) | 備考 | |
---|---|---|---|---|
1 | 一般 | ~104,000円 | 34,400円 | |
2 | 一般 | 104,001 ~ 123,000円 | 39,700円 | |
3 | 一般 | 123,001 ~ 139,000円 | 45,400円 | |
4 | 一般 | 139,001 ~ 158,000 円 | 51,200円 | |
A | 裁量 | 158,001 ~ 186,000 円 | 58,500円 | |
B | 裁量 | 186,000 ~ 214,000 円 | 67,500円 | |
C | 裁量 | 214,001 ~ 259,000 円 | 79,000円 | |
D | 裁量 | 259,001 円~ | 91,100円 | |
Z | 高額所得 | 313,001円~ | 強制退去 | 条件:①2年連続高額所得②5年以上入居 |
公営住宅に入居する世帯は、一般世帯、裁量世帯、高額所得世帯に分かれます。
一般世帯は、月所得が158,000円以内でなければいけません。
裁量世帯は、158,000円を超えてもいいようになっています。理由は下の方に解説しています。
高額所得世帯=月所得313,000円は、強制的に退去しなければいけません。ただ、収入が増えたらすぐに退去というわけではありません。①2年連続高額所得世帯 ②5年以上入居されている世帯が、強制的に退去するようになります。
裁量世帯とは(裁量階層)
以下の世帯をいいます。
- 心身障がい者を含む世帯
- 高齢者世帯(60歳以上世帯)
- 子育て世帯(未就学児)
- 被爆者がいる世帯
- 海外からの引揚者を含む世帯
- ハンセン病療養所入所者等を含む世帯
- 戦傷病者世帯
つまり、配慮すべき世帯ですね。なので、すこし世帯収入が高くても公営住宅に住めるようになっています。
公営住宅に住んでいて、途中で収入が基準を超えてしまったら?
公営住宅に住んでいて、途中で収入が基準を超えてしまうことを「収入超過」といいます。
※収入超過した世帯の正式名称=収入超過者
収入超過世帯になる条件は、以下のとおりです。
月所得(政令月収) | 備考 | |
一般 | 158,001円~ | 3年以上入居 |
裁量 | 214,001円~ | 3年以上入居 |
- 月所得とは
-
上の方の【公営住宅の収入条件と家賃】を参照。収入から各控除金額を差し引いた金額です。
「一般」は158,001円以上、「裁量」は214,001円以上。超過した時点で3年以上入居していることが条件です。
収入超過世帯になると、高額所得世帯の強制退去とまではいかないにせよ自発的に退去しなければいけません。(「明渡努力義務」)
家賃は変わらない?
収入超過世帯になると、家賃は高くなります。
今住んでいる公営住宅の近所にある、その公営住宅と同等の賃貸住宅の家賃を参考にします。※同等=間取りが同じぐらい、最寄り駅からの距離が同じぐらい、etc.
近所の同等賃貸住宅は、公営住宅よりも家賃が高いです。
つまり、一言でいうと、近所の同等賃貸住宅の家賃に合わせる、ということです。
細かい計算方法が知りたい方は↓




公営住宅への国の家賃補助
家賃補助の内容は、公営住宅がある地域によってルールが変わります。また、都道府県ごとの違いだけでなく市区町村ごとに違いがあるようです。
以下の表は、東京都の都営住宅の例
月所得が65,000円または158,000円以下になると、家賃の一部を補助してくれます。
つまり、収入が減ってしまった時に家賃補助があります。
月所得(政令月収) | 減額(%) | |
一般減免 | 65,000円以下 | 10~50% |
一般減免※1 | 65,000円以下 | 75% |
特別減額※1 | 158,000円以下 | 50% |
※1:母子・父子世帯・寝たきり老人世帯・障害世帯・常時介護を必要とする難病患者および公害患者世帯
- 月所得とは
-
上の方の【公営住宅の収入条件と家賃】を参照。収入から各控除金額を差し引いた金額です。






地域優良賃貸住宅への国の家賃補助
地域優良賃貸住宅への国の家賃補助は以下のとおりです。
条件① | 月収約21万円以下 | 月収約15万円以下 |
条件② | 高齢者、障がい者、小学生以下がいる子育て世帯 | 特に指定なし |
いくら補助 | 家賃の約45%補助(上限:1世帯あたり4万円/月) | 同左 |
公社住宅への国の家賃補助
公社住宅への国の家賃補助は以下のとおりです。
たとえば..
※東京都の公社のケース
- 35歳以下世帯:家賃3年間20%割引
- 新婚夫婦世帯:家賃3年間20%割引
- ひとり親世帯:家賃3年間20%割引
- 5km以内近居:家賃3年間20%割引※
- 学生:卒業まで家賃20%割引※
ちなみに5km以内近居とは、公社住宅に住んでいる親や子など親族がおなじ市区町村内&5km以内にいることです。
※5km以内近居:18歳未満子育て世帯、高齢者世帯、障がい者世帯が対象です。
※学生:奨学金を受給している学生、社会人学生が対象です。
もっと詳しく知りたい方は→東京都住宅供給公社(JKK東京)
UR賃貸への国の家賃補助
各種割引
近居割 | 親族同士=子育て世帯と高齢者世帯で近居すると5年間5%家賃割引。(条件クリアすると20%割引) |
U35割 | 35歳以下の単身・学生・夫婦・子育て世帯は、ふつうより安い家賃で住める。※3年間だけ。3年間経つと原則退去。 |
子育て割 | 前提条件:家族全員分の月の所得が約25万円以下。新婚世帯:3年間20%割引、子育て世帯:6年間20%割引。 |
そのママ割 | 18歳未満の子・孫・甥姪を育てている世帯は、ふつうより安い家賃で住める。※3年間だけ。3年間経つと原則退去。 |
各種 家賃減額制度
家賃改定特別措置 | |
内容 | 改定前の家賃で良しとされる |
いつ | 家賃改定の時 |
誰 | 65歳以上高齢者世帯、子育て世帯、心身障がい者世帯、生活保護世帯 |
収入条件 | 家族全員分の月所得が158,000円以下 |
いつまで | 退去するまで |
高優賃家賃減額制度 | |
内容 | 最大25,000円の割引 |
いつ | 高優賃(高齢者向け優良賃貸住宅)に住む時 |
誰 | 60歳以上高齢者世帯(単身者OK) |
収入条件 | 家族全員分の月所得が158,000円以下 |
いつまで | 住宅がバリアフリー化=高優賃になってから最長20年 |


- 高優賃とは
-
一昔前にあった高齢者向け優良賃貸住宅。一言でいうと「バリアフリーな賃貸住宅」。現在はサービス付き高齢者向け住宅に一本化されています。
団地再生事業(建替え・集約)に伴う減額制度 | |
内容① | 一般減額:(イ)20%割引、1万円限度 (ロ)40 %割引、2万円限度 ※(イ)(ロ)は選択できる |
内容② | 特別減額:移転前の家賃で良しとされる |
いつ | (建て替えなどで)移転する時。 |
誰 | 移転する世帯 |
収入条件 | 家族全員分の月所得が158,000円以下 ※特別減額は収入条件+世帯条件 |
世帯条件 | 高齢者世帯、母子父子世帯、子育て世帯、障がい者世帯、生活保護世帯 |
いつまで① | (イ)10年間 (ロ)5年間 |
いつまで② | 収入条件と世帯条件をクリアしていればずっと |
建て替えなどで移転先の家賃が前よりも高かったら大変ですよね。それを防ぐための家賃減額制度です。
子育て世帯向け地域優良賃貸住宅における家賃減額制度 | |
内容 | 20%割引、25,000円限度 |
いつ | 子育て世帯向け地域優良賃貸住宅に住む時 |
誰 | 子育て世帯or新婚世帯(結婚して5年以内) |
収入条件 | 家族全員分の月所得が259,000円以下 |
いつまで | 子育て世帯は最長6年、新婚世帯は最長3年 |
サービス付き高齢者向け住宅への国の家賃補助
サービス付き高齢者向け住宅に対する国の家賃補助は、ざっと調べた限り決められた補助はなさそうです。
代わりに、運営業者ごとに独自の家賃割引などがあるようです。
耐震化・防災化




- 現金給付
- 災害救助法とは別の法律
- 減免・猶予
- 災害救助法とは別の法律
長期優良住宅化リフォーム
現金給付という「お金がもらえる」保障です。
最大250万円がもらえます。条件は、以下の工事をおこなった時です。
長期優良住宅とは、住宅の質をUPさせた住宅のことですね。
以下の工事を「長期優良住宅化」といいます。
- 性能向上リフォーム工事(耐震性UP、バリアフリー化など)
- 三世代同居対応改修工事
- 子育て世帯向け改修工事
- 防災性・レジリエンス性向上改修工事
この中で、災害対策に直接かかわる工事は、性能向上リフォーム工事と防災性・レジリエンス性向上改修工事ですね。
レジリエンス工事とは、たとえば、耐震化、瓦の交換・下地補強、電気設備の浸水対策などの工事。
この工事についてもっと詳しく知りたい方は→一般社団法人住宅リフォーム推進協議会「補助制度」
リフォーム促進税制(耐震リフォーム)
リフォーム促進税制は、「社会保険料や税金を払わずに済む・支払いを先延ばしにできる」保障ですね。
もうすこし具体的にいいますと、自分が納めるはずの「所得税」と「固定資産税」を減らせます。
所得税は最大25万円(最大62.5万円)、固定資産税は半額。
耐震リフォーム | 所得税 | 固定資産税 |
内容 | 所得税を減らせる | 固定資産税を減らせる |
条件① | 自分が住む家であること | ー |
条件② | 昭和56.5.31以前に建築 | ー |
条件➂ | ー | 昭和57.1.1以前からある住宅 |
条件④ | 耐震工事費50万円超 | |
条件⑤ | 耐震基準をクリアする耐震改修工事をする | |
いくら減らせる① | 耐震工事費or250万円どちちらか少ない方×10%分 | 1/2分 |
いくら減らせる② | 耐震工事費を超える部分×5%分 | ー |
最大いくら減らせる | 62.5万円 |
耐震工事費は、最大250万円まで。それを超える部分(耐震工事費やそのほかリフォーム費)は最大750万円まで。つまり、工事費合計は最大1,000万円まで。
以下、所得控除額が最大の62.5万円になるイメージ図です↓ご参考まで。


土地を強くする


- 融資
- 災害救助法とは別の法律
宅地造成等規制法、急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律、建築基準法という法律による保障です。
融資なので「お金を借りられる」保障ですね。


先ほどの法律にもとづいて、国から“土地を強くしなさい”という命令があった時に、お金を借りられます。
具体的には、上の図の(1)~(4)と(5)その他の工事にかかる費用、最高約1,100万円を借りられます。
総返済負担率が住宅ローンなどと合算なので、借りるにはハードルが高いかもしれません。※総返済負担率=年収に占める全てのお借入れの年間合計返済額の割合。例:年収のうち30%・35%分だけ借りられる。
災害危険地域から別の場所へ引っ越し


- 融資
- 災害救助法とは別の法律
地すべり等防止法、土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律、密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律、特定都市河川浸水被害対策法、津波防災地域づくりに関する法律、建築基準法、これらの法律による保障です。
融資なので「お金を借りられる」保障ですね。


先ほどの法律にもとづいて、国から“いま住んでいる地域は危ないから引っ越しなさい”という命令があった時に、お金を借りられます。
最高3,700万円を借りられます。
総返済負担率が住宅ローンなどと合算なので、借りるにはハードルが高いかもしれません。※総返済負担率=年収に占める全てのお借入れの年間合計返済額の割合。例:年収のうち30%・35%分だけ借りられる。
国は本当に保障してくれるの?
保障してくれます!法律で決められていますからね。
ただ、黙っていてはダメなんですよね。声を上げて行動すれば大丈夫です。
民間企業とはちがって国や役所ですから、向こうから「保障しますよ~どうですか~」と営業してくれるわけではないんですよね。
そうはいっても災害時は国や役所も最大のサポートをしてくれるはずです。
まずは、何に困っているのかを整理して、気軽に相談するのがいいと思います。
さいごに
目的別の保障をみて気づいたかもしれませんが、「現金給付」の保障は少ないですよね。
また、災害救助法による保障は災害直後のため、災害救助法以外の法律による保障は復興&その後の生活安定のため、そんな印象です。
このように記事にまとめてみて、国の保障だけを頼りにするのではく自助努力も必要なんだと感じました。
正直なんだかガッカリですよね。現実逃避したくなります(笑)
ただ、これを機に対策&行動する事が大事だと思います!
たとえば、今よりも貯金する、節約する、副業していざという時のためのお金を増やす。最終手段で保険に入る。
対策&行動を応援します!