
トクヤクカサイホケン?封書やら電話やら、満期案内が一斉に来たんだけどいったいどうしたらいいの?
という方向けの記事です。



いろんな所から一斉に案内が来て戸惑いますよね。でも安心してください。対応方法を解説してきます。
この記事でわかる事
- 特約火災保険とは何か
- 加入中の特約火災保険の内容確認方法
- 見積もり案内をもらう方法
- 保険会社選びのポイント
火災保険のキホン→【火災保険とは?】
火災保険の“できる事”を知りたい方は→【火災保険の補償範囲【内容編】】
火災保険ができない事を知りたい方はこちら→【火災保険の補償範囲【免責編】~補償されないケース~】
地震保険を知りたい方は→【【地震保険】とは?必要か不要か判断材料が欲しい。】
特約火災保険とは?


住宅ローン返済のための火災保険
特約火災保険は、お金を貸した側である金融機関のための保険です。
また、「住宅金融支援機構」「沖縄振興開発金融公庫」「勤労者退職金共済機構」等の住宅ローンを利用する方限定の保険。
保険は、一般的に自分たちのために入りますよね。たとえば、自動車保険でケガをした時は治療費をもらえます。医療保険で入院した時は入院でかかったお金をもらえます。
けれども、特約火災保険は違うんです。
万が一、住宅ローン返済中の建物が全焼してしまった場合、保険金はローン返済に充てられます。
金融機関が保険会社と手を組んで「住宅ローン専用の火災保険」を開発したんです。
複数の保険会社で運営されている火災保険
住宅ローン用に開発された特約火災保険。
開発するにあたって1社だけでは責任が重かったんですかね、特約火災保険は複数の保険会社共同で運営されています。
共同保険会社一覧
(2022年10月1日時点)
- あいあいニッセイ同和損害保険
- 共栄火災海上保険
- セコム損害保険
- 損害保険ジャパン
- 大同火災海上保険
- 東京海上日動火災保険
- 日新火災海上保険
- 三井住友海上火災保険
- 明治安田損害保険
- 楽天損害保険
公式ページ:特約火災保険
公式ページ:特約火災保険の補償内容
この中の損害保険ジャパンが窓口(=幹事会社)になっています。
特約火災保険は継続できない
特約火災保険は、そのまま入り続けることはできません。
満期案内が来ているということは住宅ローンが完済しているはずです。
住宅ローン完済ということは、特約火災保険はお役御免になるんですよね。
なので、火災保険に入り直さないといけません。
満期案内が一斉にくる理由
共同で運営しているので、各保険会社が契約者情報を共有しています。そのため、各保険会社から一斉に満期案内がくるんです。
住宅ローンを申し込んだ時の契約者情報は、各保険会社に共有されます。
住宅ローン完済 → (特約火災保険の満期まで保険継続) → 特約火災保険の満期案内
こんな流れで一斉に案内がきます。
一般的な火災保険との違い




特約火災保険の特徴、あるいは、一般的な火災保険の大きな違いは、主に6つ。
特約火災保険の特徴6つ
- 「風災」の補償は20万円以上の場合のみ
- 「破損・汚損等」の補償がない
- 費用保険金の種類が少ない
- 特約がほとんどない
- 地震保険がない
- 家財の補償がない
「風災」の補償は20万円以上の場合のみ
特約火災保険の「風災」の補償は、被害金額が20万円以上の場合のみ保険金をもらえる仕組みになっています。
補償できるケース
- 被害金額が20万円以上の場合
たとえば、強風で屋根が壊れて、修理代が20万円かかった。
補償できないケース
- 被害金額が20万円未満の場合
たとえば、強風で屋根が壊れて、修理代が19万円かかった。
「破損・汚損等」の補償がない
特約火災保険は「破損・汚損等」の補償がありません。
厳密にいうと、「特約」で補償を付けられます。しかし、補償が付いていないことが多々あります。
理由は以下のとおり。特約火災保険は住宅ローン返済のための保険です。つまり、建物が全滅してしまうような火事や水害を想定していて、正直なところそれ以外のリスクは重要視されていません。
そのため、「破損・汚損等」の補償を手間と時間をかけて提案する金融機関は少ないんだと思います。
「破損・汚損等」についてもう少し詳しく知りたい方→【火災保険の補償範囲【内容編】】
費用保険金の種類が少ない
特約火災保険は「費用保険金」の種類が少ないんです。
費用保険金の例
- 臨時費用保険金
- 残存物取り片付け費用保険金
- 失火見舞費用保険金
- 地震火災費用保険金
- 水道管修理費用保険金
- 特別費用保険金
- 損害防止費用保険金
- (修理付帯費用保険金)※併用住宅のみ
某保険会社の費用保険金
特約火災保険の費用保険金にプラスして
- 損害範囲確定費用保険金
- 仮修理費用保険金
- 修理付帯費用保険金 ※条件なし
- 請求権の保全・行使手続費用保険金
- 水災初期費用保険金
種類は少ないですが、致命傷になる程ではないです。
あたらしく火災保険に入る際は、「費用保険金」の事も念頭に置いていただくと良いと思います。
費用保険金について→【火災保険の補償範囲【内容編】】
特約がほとんどない
特約火災保険は、特約(≒オプション)がほとんどありません。
「破損・汚損等」の補償を付けるための特約があるだけです。
厳密にいうと、そのほか個人用新価保険特約、新価保険特約、価額協定保険特約、付保割合条件付実損払特約があります。ただ、これらの特約は、火災保険に最初から自動的に当たり前に付けるような特約です。
いわゆるオプションとはいえない特約なんです。保険のややこしいところなので、このあたりはサラッと受け流して大丈夫です。
おすすめの特約を知りたい方→【あとからでも追加したい、火災保険のおすすめ特約は?】
地震保険がない
特約火災保険は「地震保険」がありません。
厳密にいうと、別途追加で補償を付けられます。しかし、補償が付いていないことが多々あります。
理由は以下のとおり。特約火災保険は住宅ローン返済のための保険でしたよね。地震保険は火災保険の最大50%分のお金しかもらえません。
また、地震保険に入ると保険料が約2倍になります。
そのため、地震保険を手間と時間をかけて提案する金融機関は少ないんだと思います。
家財の補償がない
特約火災保険は、建物の補償はあるけれど、家財の補償はありません。
補償してほしくてもダメなんですよね。
加入中の特約火災保険の内容を知る方法








※画像引用:損保ジャパン、住宅金融支援機構
特約火災保険のことを検索しようとすると、いろんな入口が存在していて混乱します。
たとえば、上の4つの入口があると思います。「窓口会社:損保ジャパン」「融資元別」「住宅金融支援機構」「フリーダイヤル」。
インターネット検索しなくても「ご契約カード」という特約火災保険専用の保険証券があれば大丈夫です。
「ご契約カード(保険証券)」を確認


特約火災保険専用の保険証券である「ご契約カード」というものがあります。(住宅ローンを完済すると発行されるようです)
『保険金額』は、住宅ローン額と同じぐらいの金額になっていると思います。
『構造』で“省令準耐火建物”を確認できます。省令準耐火建物とは、木造であるけれども通常の木造より燃えにくいとされる建物。あたらしく入る火災保険に割引適用できます。(“C”と記載されている場合もあるようなので、フリーダイヤル先に要確認)
また、住宅ローンの取扱金融機関も確認できます。


損保ジャパンの特約火災保険 契約内容確認受付フォームというサイトページで、インターネット上で保険の内容確認ができる「web証券(ご契約カード)」があるようです。
ただ、上の図のとおり、「契約証番号」と「火災保険金額」を入力しないと先に進めません。結局、フリーダイヤルに電話させる仕組みになっていますね。
フリーダイヤルに問い合わせる
契約カードが手元にない方は、フリーダイヤル(0120-372-215)に問い合わせて『契約カード』の再発行してもらうといいです。
問い合わせるともしかしたらあたらしい火災保険の営業をされるかもしれませんが、ひとまず不要であれば丁重に断って大丈夫です。
火災保険の疑問点


築古だけど保険をかける意味あるの?
結論、保険をかける意味はあります。
『うちは価値がほとんど無いはずだけど火災保険をかける必要あるの?』
こんな疑問を持ちますよね。
マイホームを購入して年月が経つと価値は下がっていきます。下がった価値はどうにもなりません。
でも、火災保険で受け取るお金は、その価値の分ではないんです。
火災保険の考え方
- 保険金≠建物の価値の分のお金
- 保険金=再建築のためのお金(再調達価額)
火災保険とは、もう一度建て直す(=「元通り」)ためのお金を受け取れるサービス。
なので、どれだけ自宅の価値が下がっていたとしても、火災保険は意味があるんです。
新築の自宅が火事で丸焼けしたとしても、築30年の自宅が火事で丸焼けしたとしても、もう一度建て直すために必要なお金は変わらないですよね。
ちなみに、もう一度建て直すための貯金が十分でしたら、火災保険はいらないかもしれないです。
見積もり案内をもらう方法


保険会社から見積もり案内をもらう方法を解説してきます。
そのうち勝手に案内が来る
特約火災保険は複数の保険会社で運営されている共同保険です。また、顧客情報を共有しています。
特約火災保険の満期が近づくと、各社の担当者から一斉に郵送やら電話やら案内が来るようになっています。
満期の約2~3ヶ月前に一斉に案内が来るので、待っていれば大丈夫です。
内容と保険料が良いと思う保険会社、相性の良い担当者、これらを基準に選ぶといいです。
専用フリーダイヤルで問い合わせ(窓口:損保ジャパン)


こちらから問い合わせる方法として、フリーダイヤルが用意されているます。
平日は9:00~17:00、休日は繋がりにくいので、このあとに紹介するweb一括問い合わせと併用してみてください。
web一括問い合わせ(窓口:損保ジャパン)


特約火災保険の補償内容|【公式】損保ジャパンの「問い合わせはこちら」から入ります。


火災保険 ご案内希望受付フォームというページに移り「同意する」を押します。


現在ご加入中の火災保険(建物)のご契約内容入力というページに移り、必要情報を入力。
必要情報を入力できれば、つぎに『お客様情報入力』→『入力内容の確認』という順番で進んでいって受付完了になります。
後日、各保険会社の担当者から何かしら案内が来ます。
保険会社に直接問い合わせ
保険会社に問い合わせる方法
- 電話(カスタマーセンター)
- インターネット(web)
保険会社に問い合わせる方法は、電話 or ホームページよりwebでおこなえます。
保険会社選びに迷ったら?


保険に入るだけでも億劫なのに、数ある保険会社から1社を選ぶなんて大変ですよね。
まず、内容の良さと保険料の安さは大前提ですよね。その大前提があって、どうしたらいいか混乱してしまうんですよね。
そんな方に保険会社選びのヒントを解説していきます。
大前提!内容の良さ&保険料の安さ
大前提なので解説不要と思ったのですが、だからこそ注意喚起をしておきます!
内容の良さは大事
内容の良さは大事です。何かあった時のための保険で、何かあった時に補償されないなんて嫌ですよね。
ただ、保険に入るのは一苦労どころか三苦労です。
それでも、時間と手間をかけて、相見積もりをして、それぞれ説明を受けて納得してから火災保険に入った方がいいです。
保険料の安さも大事
保険料の安さも大事です。火災保険はかけすて保保険なので、安いに越したことはないですね。
ここで「安かろう悪かろう」ということわざを思い出してみてください。
誤った判断を見直せるかもしれません。
候補先&選ぶポイント


まず、ここで紹介するのが絶対ではありません。
あまりにも選択肢が多すぎるので、ある程度は絞らないといつまで経っても火災保険に入れませんよね。
あくまで参考として解説していきます。
候補先&選ぶポイントの解説
候補は以下のとおりです。
- 大手4社
- セコム損保
- 思い入れのある1社
- 共済
- インターネット契約(ダイレクト型)
ポイントは以下のとおりです。
- 担当者との相性
- 転勤異動の有無(簡単に辞めない、担当者がコロコロと変わらない)
- 体力のある会社(経営健全)
- 口コミ
大手4社は、あいおいニッセイ同和損保、損保ジャパン、東京海上日動、三井住友海上のことです。日本を代表する老舗の保険会社ですね。
おそらく体力のある会社といえるでしょう。
担当者の相性、転勤異動の有無をポイントに最終判断するといいと思います。
つづいて、セコム損保。
自宅にセコムを契約している場合、セコム損害保険の火災保険に割引が適用できます。
担当者の相性、転勤異動の有無、体力のある会社かどうかをポイントに最終判断するといいと思います。
つづいて、思い入れのある1社。
これは単純に気持ちの問題ですね。どこが良いか絶対はありませんので、良いと思ったところが良いと思います。
つづいて、共済。
保険会社と似て非なる共済です。特に地震・噴火・津波の補償が保険会社とくらべて心もとない印象です。
担当者の相性、転勤異動の有無、体力のある会社かどうかをポイントに最終判断するといいと思います。
さいごに、インターネット契約(ダイレクト型)。
とにかく安くて手軽です。
担当者の相性、転勤異動の有無、体力のある会社かどうこうではなく、「口コミ」をポイントに最終判断するといいと思います。
火災保険はやり直しが効く
最初に加入したところがたとえ“失敗”だったとしても、火災保険(地震保険)は特にペナルティ無く入り直せます。
自動車保険は、等級制度というペナルティがあります。火災保険とくらべると、すぐに入り直すにはハードルが高いですね。
生命保険は、入り直す期間に保険料の二重払いが発生する場合があります。火災保険とくらべると、すこしハードルが高いですね。
多少ペナルティがあったとしても、保険は一生もなのですぐに切り替えた方がいいです。
失敗は付きものなので、気軽に相談していきましょう!