【比較】共済と火災・地震保険の違いは何?

悩んでいる人

火災・地震保険を検討中。共済と保険どちらがいいの?

という方向けの記事です。

ネカホ屋さん

保険と共済は似て非なるものです。一番の違いは補償内容なので、そのあたりを中心に解説していきます。

この記事でわかること

  • 保険と共済の一番の違い
  • 共済のよく言われる口コミ考察
目次

共済とは?

引用:一般社団法人日本共済協会 2023

共済とは何か。代表的な4社、ずばり保険との違い、共済のイメージを確認していきます。

日本を代表する4つの共済について知りたい方は→【【比較】共済の四天王!?JA共済・都道府県民共済・こくみん共済・コープ共済の違い

代表的な共済4社

上図のように、日本にある共済は多数あります。思っていたより多いですよね。

この記事では日本を代表する、JA共済、都道府県民共済こくみん共済coop(以下、こくみん共済)、CO-OP共済(以下、コープ共済)をピックアップして解説していきます。

保険と何が違うのでしょうか。

保険との違いは「内容」と「割戻金」

結論、補償の「内容」に違いがあって、また、一部の共済には「割戻金」があります。ここが共済と保険の大きな違いですね。

補償内容の違いについては、後ほど詳しく解説します。

割戻金とは、契約者から集めた掛金の一部を各契約者に返すお金のことです。都道府県民共済とコープ共済に割戻金制度がありますね。保険にはこのような制度はありません。

「補償内容」と「割戻金」以外はあまり大きな違いはありません

よく言われる共済の口コミ

よく言われる共済の口コミ

  • 非営利団体だから利益上乗せしない
  • 契約者は組合員のみ
  • 契約者保護がない
  • 保険料が安い
  • 割戻金がある
  • 自由に補償設計できない etc.

共済はよくこんな風に言われますよね。

実際はどうなのか、保険と比較しながら見ていきましょう。

保険と共済の比較

保険共済
JA共済都道府県民共済/こくみん共済/コープ共済
法律保険業法農業協同組合法消費生活協同組合法
監督官庁金融庁農林水産省厚生労働省
目的営利非営利非営利
契約者不特定多数組合員組合員
契約者保護ありなしなし
保険料中~高中~高低~高
割戻金なしなし(かけすて)orあり(積立)あり
内容①(タイプ)かけすてかけすてor積立かけすて
内容②(限度額)上限ふつう上限ふつう上限低め
内容➂(期間)1~5年1年未満~3年(かけすて)5年or10年(積立)1年
内容④(選択肢)多様画一的画一的
内容⑤(特約)種類豊富種類少な目種類少な目

保険と共済を比較したとき、がついているところが大きな違いです。

「割戻金」と「(補償の)内容」ですね。この2つは後ほど詳しく解説していきます。

そのほかの「法律」「監督官庁」「加入者」「契約者保護」について、かるく触れていきます。

「法律」の違い

何かをやる時はルールが必要ですよね。スポーツにしても受験にしても。

ビジネスにもルールが必要ですよね。保険は「保険業法」という法律がルールになっていて、共済は「農業協同組合法」や「消費生活協同組合法」という法律がルールになっています

法律のプロが見れば全くちがうものだと思いますが、私たち一般消費者にとってはあまり気にしなくていいところです。

ルールがしっかり存在していて、商品を売る側はルール違反すると罰せられる』と理解していれば十分です。

「監督官庁」の違い

監督官庁とは、法律がルールならば、ルールが守られているかチェックする所です

スポーツでいう審判員、受験でいう試験監督という感じです。

商品を売る側が悪さをしないように、あるいは、契約者にとって良い商品サービスを提供できているかどうか、ルールに沿って管理する立場ですね。

「目的」の違い

よく保険は「営利目的」共済は「非営利目的」などと言われます。

だからといって、保険が悪くて共済が良いと判断するには気が早いんです。

そもそも“営利”とは何かといいますと、『株主へ還元する利益』の事。

つまり、株式会社である保険会社は、株主からの出資金で成り立っているいるわけで、余ったお金あるいは経営努力で増やしたお金をその株主へ返しているんですよね。

共済でいえば、契約者から集めた掛金や出資金を『割戻金』として返すような感じです。

このように、営利目的・非営利目的だからといって保険と共済の商品内容に影響はありません

「契約者」の違い

よく言われるのが、『保険は不特定多数の人が入れて、共済は組合員しか入れない』

たしかにそうですが、あまり気にする必要ないです。

というのも、共済に入るのであれば組合員になればいいんです。

ただ、組合員になるには1年に一度ずつ「出資金」という組合費・会費のようなお金を掛金とは別に支払わなければいけません。

といっても、出資金は基本的に解約時に返してくれます。なので、あまり気にしなくていいんです。

出資金の仕組み

JA共済こくみん共済都道府県民共済コープ共済
出資金1,000円(1口)~ ※1出資金100円(1口)~出資金は初回200円+毎年掛金の5%出資金500円~(500円未満の場合も)
1回きり1回きり毎年 ※21回きり
出資金は解約時に返ってくる。出資金は解約時に返ってくる。出資金は解約時に返ってくる。出資金は解約時に返ってくる。

※1:JA共済は、出資金は必須ではありません。ただ、出資金するしないで加入者資格が変わり、それによって加入できる保障額が変わります。農家以外の方が出資金を出す場合は准組合員、農家以外の方が出資金を出さない場合は員外利用となります。

JA共済 組合員と加入保障額

※2:都道府県民共済の出資金は他とくらべると独特です。毎年、年間掛金の5%が出資金として支払います。また、初年度はそれにくわえて200円を支払います。

都道府県民共済の出資金

「契約者保護」の違い

契約者保護とは、万が一会社が潰れた時に、それまで加入していた契約を守る制度のことです。

保険には『保険契約者保護機構制度』という制度があります。もうすこし具体的にいいますと、各保険会社が毎年すこしずつお金を出して、そのお金を万が一の時のために使えるよう貯めておく制度です。

残念ながら共済にはそのような制度はありません。

歴史的に保険会社は倒産や合併を繰り返しています。一方、共済は合併は多少ありますが、倒産は保険にくらべれば少ない、もしくは無いかもしれません。

保険会社は歴史に学んでそのような制度をつくったんだと思います。今まで無いからといってこれからも無いとは言い切れないですしね。

「保険料」の違い

結論、保険料は内容に比例しています。つまり、単純に共済だからといって安いわけではないですし、保険だからといって高いわけではありません

ただ、共済は割戻金がある分、結果的に保険より掛金が安くなる可能性はありますね。その際は、内容がおなじかどうか注意してください。

唯一、JA共済の積立系「建物更生共済むてき(プラス)」は、他とくらべると保険料が高いと言えると思います。

掛金全体のうち満期金を差し引いた残りの部分がかけすて掛金にあたります。そのかけすて部分と他社のかけすて掛金を比較するとわかります。

「割戻金」の違い

割戻金のイメージ

割戻金とは、1年間、全契約者から集めた掛金のうち“余ったお金”の事です。その余ったお金は、契約者に返されます

掛金の20~30%ぐらいが返ってくるようです。

契約者保護がない分、もしかしたら多めに掛金を設定しているのかもしれないですね。

残念ながら保険には割戻金はありません。

「内容①(タイプ)」の違い

JA共済はかけすて系と積立系の2種類があります。「火災共済」はかけすて系、「建物更生共済むてき(プラス)」は積立系の火災保険。

それ以外の保険会社の火災保険やこくみん共済、都道府県民共済、コープ共済の火災保険はすべて“かけすて系”です。

「内容②(限度額)」の違い

1社「限度額」

たとえば前例のない程の大災害が起きるとします。そのとき、1つの共済会社はいくらまで補償できると思いますか。

共済は、1回の自然災害で補償できる金額が決まっています

引用:各社HP・パンフレット・重要事項説明書
  • こくみん共済

風水害等・・・480億円

地震等・・・4,500億円

  • 都道府県民共済

風水害等・・・850億円

地震等・・・3,000億円

  • コープ共済

風水害等・・・600億円

地震等・・・5,500億円

※風水害等=台風、洪水、竜巻など

※地震等=地震・噴火・津波

保険の場合は、風水害等に限度額は特にありませんが、地震等の限度額は約12兆円です。→参考サイト「財務省:地震保険制度の概要」

共済だと足りないの?

そんなことは無いです。

過去の風水害等や地震等で、限度額を超えたことはないようです。

引用:JA共済「建物更生共済 むてきプラス」

JA共済が公表している過去の地震共済金データがありました。JA共済は限度額は設けていないようですね。

そのほか共済の過去データは、残念ながら見当たりませんでした

その代わり、過去の自然災害とそれに対する保険会社が支払った保険金額のデータを見ていきます。参考にしてみてください。

引用:損保協会 画像1

「令和3年7月1日からの大雨」では関東圏合計約12億円の保険金支払いでした。※画像1

ただ、このデータは全保険会社の統計です。

引用:損保協会 画像2

「平成26年2月の雪害」では関東中心合計約3,000億円の保険金支払いでした。※画像2

ただ、このデータは全保険会社の統計です。また、新種保険といわれる火災保険以外の保険金支払いも含まれています。

引用:損保協会 画像3

「令和3年2月の福島県沖を震源とする地震」では全国合計約1,400億円の保険金支払いでした。※画像3

引用:損保協会 画像4

あの「東日本大震災」では全国合計約1兆3,000億円の保険金支払いでした。※画像4

1商品「限度額」

1社単位ではなく、1商品単位で補償できる限度額が設定されています。

具体的には、都道府県民共済の新型火災共済で、風水害等の補償は600万円までと決まっています。

引用:都道府県民共済 新型火災共済

JA共済、こくみん共済、コープ共済は、プランにって都道府県民共済とおなじように限度額が低めに設定されています

保険の場合は、特にこのような事はありません

「内容➂(期間)」の違い

保険は1~5年

JA共済は積立系は5年or10年の選択制で、かけすて系は数日・数か月~3年

こくみん共済や都道府県民共済、コープ共済は1年契約になります。

メリットデメリット
1年以下契約
(短期契約)
毎年見直ししやすい。保険は毎年マイナーチェンジします。保険料が毎年変わる。
2年以上契約
(長期契約)
保険料が長期間固定。すこし安い。保険の見直し機会が減る。

1年契約と長期契約のどちらがいいかは、考え方によります。どちらも良いところ悪いところ表裏一体で、どちらが正解なのか断言するのはむずかしいです。

毎月毎年の固定費をまさしく固定させたい場合は、長期で契約しておいた方がいいと思います。長期で契約したからといって、見直しできないわけではないですし、解約できないわけではないので。

「内容④(選択肢)」の違い

共済とくらべると保険はプランの数が多いです。

選択肢が多ければそれだけ自分に合った契約内容にできますが、共済の補償内容で十分な可能性もあります。

逆に選択肢が多いと迷ってしまうこともあります。

なので、保険と共済、それぞれ一長一短ありますね。

「内容⑤(特約)」の違い

共済とくらべると保険は特約の種類が多いです。

特約とはいわゆるオプションの事。

といっても、オプションをあれもこれも付ける必要はないので、種類が少ないからといって共済がダメではありません。

結局、保険と共済どちらにすればいいの?

保険と共済で一番違いが出るのは、商品の「内容」です。

何かあった時のための保険なので、まずは内容をしっかり比較しましょう。

保険だから○○、共済だから○○といった固定観念は捨ててフラットに内容を比較していくといいですね。

さいごに、「割戻金」などを考慮して、毎月毎年支払える範囲内の掛金を考えて、最終的に契約する商品をえらべたら良いと思います。

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