【比較】共済の四天王!?JA共済・都道府県民共済・こくみん共済・コープ共済の違い

悩んでいる人

火災保険は共済にしようと思っている。でも、どこがいいの?

という方向けの記事です。

ネカホ屋さん

日本を代表する4つの火災共済を比較解説していきます。

この記事でわかること

  • JA共済・都道府県民共済・こくみん共済・コープ共済の比較
  • 火災共済をえらぶポイント
  • 火災共済のデメリット・注意点
目次

共済とは?

引用:一般社団法人日本共済協会 2023

上図のように、日本にある共済は多数あります。思っていたより多いですよね。

共済は、保険とほとんど同じ仕組みです。保険との大きな違いは、共済には「割戻金」あること。あとは単純に「保障の内容」が違います。

共済と保険の違いについてもう少し知りたい方→【【比較】共済と火災・地震保険の違いは何?

この記事では日本を代表する、JA共済、こくみん共済coop(以下、こくみん共済)、都道府県民共済、CO-OP共済(以下、コープ共済)をピックアップして解説していきます。

【比較】共済の四天王

【比較】プラン・タイプ・期間

プランタイプ期間
むてき
プラス
一律積立5年
または10年
火災共済
一律かけすて7日,15日
,1~11ヶ月または
1~3年
新型火災共済
一律かけすて1年
住まいる共済
大型かけすて1年
標準かけすて1年
シンプルかけすて1年
マンション専用かけすて1年
火災共済
大型かけすて1年
標準かけすて1年
基本かけすて1年
マンション専用かけすて1年

【比較】基本の保障内容

スクロールできます
むてきプラス
火災共済
新型火災共済
住まいる共済
住まいる共済
住まいる共済
住まいる共済
コープ共済
コープ共済
コープ共済
コープ共済
大型標準シンプルマンション専用大型標準基本マンション専用
火災
風水害○※1○※1
盗難
水漏れ
建物外部からの物体の衝突
騒擾
破汚損
地震噴火津波
基本の保障内容 比較一覧表
タイプ期間
積立5年または10年
プラン
一律
火災
風水害
盗難
水漏れ
建物外部からの物体の衝突
騒擾
破汚損
地震噴火津波
基本の保障内容 JA むてきプラス

※1:住まいる共済とコープ共済の標準プランの風水害保障は、大型プランにくらべて約70%の保障額になります。

こくみん共済とコープ共済の「マンション専用」は、『風水害なしver.』です。『風水害ありver.』もあるようです。

【比較】“最高”いくらまで保障されるか

タイプ期間
積立5年または10年
プラン
一律
火災特に上限なし
風水害特に上限なし
盗難特に上限なし
水漏れ特に上限なし
建物外部からの物体の衝突特に上限なし
騒擾特に上限なし
破汚損
地震噴火津波建物5,000万円、家財1,000万円
保障限度額 JA むてきプラス

ここでの金額はあくまで“最高額”です。契約者全員が最高額を保障されるわけではなく、契約者(の建物)によって保障される金額は変わります。

【比較】費用共済金

まず費用共済金とは何か、解説します。

費用共済金とは

保険でいう「費用保険金」のこと。建物や家財を「元通り」にするためのお金が「損害保険金」に対して、それに関係する諸々のお金のことを「費用共済金」といいます。

費用共済金にはいくつか種類があって、○○費用共済金と呼びます。

このあたりの用語や考え方を知りたい方→火災保険の補償範囲【内容編】

タイプ期間
積立5年または10年
プラン
積立
臨時費用
特別費用
残存物とりかたづけ費用
失火見舞費用
地震火災費用
水道管凍結
修理費用
損害拡大
防止費用
漏水見舞費用
再発防止費用
持ち出し家財
バルコニー等修繕費用
ドアロック
交換費用
風呂の空だき見舞費用
付属建物等
風水害費用
付属建物等
特別共済金
火災等死亡
費用
借家修復
見舞
(修理費用)
費用共済金 JA むてきプラス

※1:JA火災共済はあとで出てくる「臨時費用担保特約」というオプションを付ければ○になります。

※2:「持ち出し家財」の盗難は保障されません。

※3:都道府県民共済の「災害死亡共済金(焼死等共済金)」は、火災等が原因で亡くなったりした時のみ保障。

※4:こくみん共済とコープ共済の火災等死亡保障は、火災や風水害が原因の時のみ保障されます。地震が原因のケガ死亡は保障されません。

※5:都道府県民共済、こくみん共済、コープ共済の借家人賠償関連の保障は、いわゆる借家人賠償責任保障とは違います(すこし心許ないです..)。こくみん共済とコープ共済は、特約を付けられるようになっています。

【比較】特約

タイプ期間
積立5年または10年
プラン
一律
臨時費用✖※1
類焼損害
盗難保障✖※2
地震保障✖※7
修理費給
個人賠償
責任
✖※5
弁護士費用
借家人賠償
責任
特約 JA むてきプラス

※1:臨時費用は、基本保障に含まれています。

※2:盗難保障は、基本保障に含まれています。

※3:こくみん共済の住まいる共済は、最高3億円までの保障。

※4:火災・破裂・爆発・漏水等の借家人賠償責任のみ保障。いわゆるオールリスク保障ではありません。

※5:特約(オプション)としては付けられませんが、別に「(個人)賠償責任共済」という商品が用意されています。JA共済のむてきプラスの個人賠償責任保障は、最高5,000万円までの保障。

※6:特約(オプション)としては付けられませんが、別に「(個人)賠償責任保険」という商品が用意されています。ただ、「たすけあい」や「あいぷらす」という商品とセットで加入しなければいけません。コープ共済の個人賠償責任保障は、最高3億円までの保障。

※7:地震保障は、基本保障に含まれています。

※8:地震保障は、基本保障にすこし付いています。

比較するポイント

共済を選ぶポイント①~⑥

  • タイプ
  • 期間
  • いくらまで保障(保障限度額)
  • 保障内容
  • 費用共済金
  • 特約

①タイプ

共済のタイプは、かけすて型積立型があります。毎月・毎年の掛金負担を抑えるかけすて型。毎月・毎年の掛金負担は大きいけれど将来に掛金の一部が返ってくる積立型。

JA共済の積立型は、あくまで掛金の一部が戻ってきます。支払っていた掛金全額が戻ってくるわけではありません。その点、注意してみてください。

②期間

共済は基本的に1年契約です。

JA共済の積立型が5年or10年契約で、かけすて型が7日~3年を選べるようになっています。

期間が長ければ長いほど、支払う掛金の総額または年間掛金は安くなります。

④保障内容

さきほどの【【比較】基本の保障内容】でそれぞれの基本的な補償内容を○△✖で確認しました。

見てのとおり、「火災」保障はどれも同じですね。違いは、火災以外の「風水害」や「地震噴火津波」などその他の所にあります。

最近は自然災害が多発しています。「風水害」と「地震噴火津波」を重点的に比較してみてください。

④最高いくらまで保障されるか(保障限度額)

さきほどの【【比較】最高いくらまで補償されるか】でそれぞれの共済の保障限度額を確認しました。

たとえば、こくみん共済の火災保障は「4,000万円」。

けれでもこの限度額は、あくまで“最高額”です。建物の構造や広さで加入できる保障額が変わります

マイホームの床面積が広かったり、賃貸アパート1棟を保障したい場合、もしかしたら保障が不足するかもしれません。そこは十分に注意してください。

⑤費用共済金

費用共済金とは

保険でいう「費用保険金」のこと。建物や家財を「元通り」にするためのお金が「損害保険金」に対して、それに関係する諸々のお金のことを「費用共済金」といいます。

費用共済金にはいくつか種類があって、○○費用共済金と呼びます。

このあたりの用語や考え方を知りたい方→火災保険の補償範囲【内容編】

さきほどの【【比較】費用共済金】でそれぞれの費用共済金を○△✖で確認しました。

個人的に「残存物とりかたづけ費用」共済金が一番大事だと思っています。理由は、いざ保障される時の金額が大きいからです。

残存物とは、たとえば自宅が火災で全焼したときの焼け残りや瓦礫などのこと。

再建築や土地の売却をするにも、焼け残りや瓦礫を片付けないといけません。その片付け費用が数百万円するんです。

この残存物とりかたづけ費用共済金がない場合は、「臨時費用」共済金やこのあと出てくる特約で補うことができます。

残存物とりかたづけ費用に充てられる保障が数百万円分あるのかどうか、ここに注目してみてください。

それ以外の費用共済金は、各事情や好みによって確認していけばいいと思います。

⑥特約

さきほどの【【比較】特約】でそれぞれの特約を○△✖で確認しました。

ポイントは、「臨時費用」特約、「個人賠償責任」特約、「借家人賠償責任」特約。それ以外の特約は、各事情や好みによって確認していけばいいと思います。

臨時費用は、さきほどの費用共済金で解説したとおりです。残存物とりかたづけ費用共済金や臨時費用共済金の保障がない場合、臨時費用のための特約は付けておきたいですね。

個人賠償責任の保障は、日常生活上で加害者になってしまった時にとても役立ちます。最近の代表的な加害事故は、自転車で人にケガを負わせてしまったケース。JA共済の場合は最高5,000万円保障なので、最高3億円のこくみん共済の方がより安心ですね。

「個人賠償責任」の保障は、保険にも付けられます。現在加入している保険に一つでも付いていれば事足りるので、確認してみてください。

借家人賠償責任の保障は、賃貸住まいの方向けの特約です。賃貸オーナーへの賠償責任が発生した時のための保障ですね。賃貸住まいの方は、こくみん共済とコープ共済の2択になりますね。賃貸住まいの方はこの保障は必須です。

AB
①火災破裂爆発
②水漏れ
➂盗難
①~➂以外の事故

借家人賠償責任の保障は、AタイプとBタイプがあります。共済はAタイプです。

借家人賠償責任とは

賃貸住まいの借主が部屋で火災などの事故を起こした時、賃貸オーナである貸主に対しての賠償責任。

共済のメリット・デメリット

メリット:割戻金

割戻金は魅力的ですね。保険には無い機能です。

デメリット:自然災害の保障に不安

さきほどの【【比較】最高いくらまで補償されるか】で自然災害はいくらまで保障されるか確認しました。

保険にくらべて共済の自然災害の保障額は心許ないですね。

自然災害とは、風水害と地震噴火津波

JA共済は保障額の上限がなかったり、建物家財合計で最高6,000万円の保障と謳っているので、ひとまず安心かもしれません。

一方、都道府県民共済とこくみん共済とコープ共済。都道府県民共済の自然災害の保障は、風水害が最高600万円、地震噴火津波が火災共済金の5%保障(最高300万円)です。

こくみん共済とコープ共済は、自然災害の保障は、風水害が最高300~約2,400万円、地震噴火津波が建物は最高800~1,200万円で家財は最高400~600万円

保障限度額は、あくまで“最高額です。建物の構造や広さで加入できる保障額が変わるので、その点は注意です。

共済の注意点

フランチャイズ方式

保険や共済の機能のひとつで、免責金額方式とフランチャイズ方式があります。共通するのは、修理費(損害額)が設定金額以上にならないと保障できないこと。

フランチャイズ方式の場合は、修理費(損害額)が設定金額が超えると、修理費の全額が保障。

一方、免責方式の場合は、修理費(損害額)が設定金額が超えると、修理費の全額から免責金額が差し引かれて、残りの金額が保障されます。

保険の場合は、「免責方式」が主流になっています。

タイプ期間
積立5年または10年
プラン
一律
条件①条件②条件➂
風水害損害額
5万円以上
損害割合3%以上損害割合5%以上
※床下浸水の場合
地震噴火津波
フランチャイズ方式 JA むてきプラス
罹災証明書の半壊や全壊のイメージ
フランチャイズ設定金額などのイメージ

比例てんぽ方式

実損てんぽ方式と比例てんぽ方式のイメージ

共済は、契約した共済金額が再調達価額よりも低くなる(=一部保険の状態)と、「比例てんぽ方式」という保障の仕方になってしまいます。

火災共済(火災保険)は、この再調達価額の金額に合わせて契約しないといけない基本ルールになっています。

再調達価額とは

別名「新価」。下のイメージ図を参考にしてみてください。たとえば新築10年後に家が全焼した場合に、もういちど同じレベルの家を建てるための総建築費のことです。

再調達価額(新価)と時価のイメージ図
同じレベルとは

同じ建築材料を使ったり、同じ建築構法にすることです。木造でいえば、おなじ材木を使ったりすることですね。

時価とは

再調達価額(新価)とよく比較されるのが「時価」。再調達価額(新価)とは全くちがう考え方で、その時点の家の価値をいっています。

保障の仕方が比例てんぽ方式になってしまうと、上のイメージ図のように、最終的にもらえる共済金が少なくなってしまいます

上のイメージ図でいうと、実損てんぽ方式の場合は修理費(損害額)300,000円をそのままもらえます。一方、比例てんぽ方式の場合は修理費(損害額)が300,000円にもかかわらず、最終的に225,000円をもらうことになります。

比例てんぽ方式になってしまう原因は、「一部保険」の状態になること。下の図を参考にしてみてください。

新築の場合も中古の場合も同じ考え方です。

「比例てんぽ方式」になる原因は、契約する共済金額が再調達価額よりも低くなる(=一部保険の状態)でした。

共済金額が再調達価額を下回ったからといってすべてが「比例てんぽ方式」になるわけではありません。ある程度下回っても「実損てんぽ方式」で保障してもらえます。

その“ある程度”の基準は以下のとおりで、再調達価額の80%(70%)を下回らなければOKです。

契約時の共済金額(再調達価額と比較%)むてきプラス
火災共済
新型火災共済
80%以上で契約実損てんぽ方式実損てんぽ方式
80%未満で契約比例てんぽ方式比例てんぽ方式
70%以上で契約実損てんぽ方式
70%未満で契約比例てんぽ方式
一部保険の状態になる・ならないの基準%

こくみん共済とコープ共済は、保障の仕方が他2社とちがいます。「実損てんぽ方式」「比例てんぽ方式」でもなく「口数方式」になります。契約方式によって保障が目減りする心配はありません。

一部保険・全部保険・超過保険とは

上のイメージ図のとおりで、契約した共済金額が再調達価額よりも低くなること=一部保険、契約した共済金額が再調達価額とおなじ=全部保険、契約した共済金額が再調達価額よりも高くなること=超過保険。

元々は保険の世界の考え方なので、○○保険という言い方をします。

共済に限らず、保険にも「再調達価額(新価)方式」と「時価方式」があります。ただ、保険の場合は「再調達価額(新価)方式」が主流になっているので、あまり気にしなくても大丈夫です。

結局、共済はどうなの?

自然災害の保障を慎重に検討する

共済のデメリットとして指摘した、風水害や地震・噴火・津波などの自然災害の保障について十分に検討していただくといいと思います。

住んでいる地域の自然災害リスクはどうなのか。ハザードマップを調べるといいですね。

大規模な災害が起きた時に、十分な貯蓄があるのかどうか。貯金が十分であれば、もういちど建て直すための建築費や当面の生活費に困りません。そのような場合は、そもそも共済や保険は不要ですね。

フランチャイズ方式があることを慎重に検討する

さきほどの【共済の注意点】でフランチャイズ方式や免責方式を解説しました。

共済に限らず保険もそうですが、修理費(損害額)が○○円以上になってはじめて保障できる契約のカタチがあります。

たとえば10万以下の修理費(損害額)なら自分でなんとかできる、100万円以下の修理費(損害額)なら自分でなんとかできる、そのように思えればフランチャイズ方式も悪くはありません。

比例てんぽ方式があることを慎重に検討する

さきほどの【共済の注意点】で比例てんぽ方式と実損てんぽ方式について解説しました。

JA共済のむてきプラス(積立タイプの方)には「実損てんぽ特約」というオプションを付けられます。

この「実損てんぽ特約(または新価特約)」を付けると、契約した共済金額が再調達価額よりも低くなる=一部保険の状態になったとしても、『実損てんぽ方式』で保障できるようにします。

つまり、最終的にもらえる共済金が目減りすることはありません。

JA共済を契約する場合は、「実損てんぽ特約」を付けておくといいと思います。

都道府県民共済は、「実損てんぽ特約」のようなオプションは特になありません。わざわざ特約を付けなくても、一部保険の状態でない限り『実損てんぽ方式』による保障になります。

ただ、都道府県民共済の場合は、『実損てんぽ方式』にするためには「全部保険(70%以上)」で契約する必要があるので注意してください。

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